
京都新聞などで連載されていた小説『家康』の単行本です。
「自立篇」の連載は終了し、
現在は静岡新聞などで「不惑篇」の連載が始まっています。
京都新聞では、まだ始まっていません。
全5巻の構想なので、まだまだ完結しそうにはありません。
この「自立篇」で扱われるのは、桶狭間の戦いから三方ヶ原の戦いまで。
家康19歳から31歳までの話です。
今川家の部将として尾張攻めに参加することになった松平元康。
今川義元の死後、母方のおじ水野信元を仲介に、
織田信長と同盟を結び、三河・遠江へと領土を広げます。
「天下を尾張にする」。
伊勢湾海運を押さえて巨万の富を得た信長は、
近江を押さえて琵琶湖の水運を掌握し、日本海の海運へと手を伸ばし、
泉州堺を手に入れて南蛮貿易を支配下に入れようとします。
流通ルートを押さえて勢力を拡大し、やがては海外進出へと至る信長の野望。
信長の卓越した構想力に圧倒された家康は、
自分なりに「厭離穢土、欣求浄土」の理想を抱くようになります。
鉄砲を手に入れても弾薬が入手できなければ意味がない。
弾薬を入手するには流通ルートを押さえる必要がある。
単なる領地の取り合いではなく、
商業、流通という視点を織り込んだ物語になっています。
騙し合い、化かし合いを知らぬ十代の家康が、
戦いを重ねる中で自分なりの理想をつかみ、成長していく
教養小説のような展開にもなっています。
遠江支配を目指す家康の前に立ちはだかる強大な敵、武田信玄。
三方ヶ原の戦いで信玄に大敗したところで「自立篇」は終わります。
おそらく次の「不惑篇」は本能寺の変までになると思います。
(本能寺の変は家康41歳のとき)
本能寺の変から江戸城に入るまでが第3巻、
江戸入りから関ヶ原前夜が第4巻、
関ヶ原の戦いと大坂の陣で第5巻、といったところでしょうか。
完結までは先が長いので、とりあえずは京都新聞での連載再開を待つことにします。